専門家バイアスとは [大ピラミッド・通気孔]

考古学者の発掘に関する仕事っぷりは、さすがプロです。

その点、エジプトに食い込んでいる日本の考古学者も、

他国にひけはとらないものと確信しています。

そもそも、日本が古代エジプトの遺跡発掘に食い込めたのは、

若き吉村作治氏の功績によるところが大きいと聞きいています。

そして、それは真実であっただろうと思います。



しかし、そうした発掘の研究成果が公表される際、

しばしば専門家としての解釈が添えられることがあります。

そのとき、同じプロが読む論文ならまだしも、

一般向けに「これこれはこうである」

と断定的に書かれてしまいますと、

どうしても一般人は、それを信じてしまいます。

この件に関しては、すでに先人がいらっしゃったので、是非こちらを。

http://55096962.at.webry.info/201104/article_19.html



これらを読んで、

私がまさしく、誤った情報を信じた一般人だったと思いました。

専門家の断定を信じると、

解釈が先に進まず、

他の疑問との整合性がとれなくなって混乱する

ということを幾度も経験しました。




最初に、ドラマのテロップのように

「解釈に関しては著者の仮説です」

と断り書きを入れるか、いちいち


「と私は推測する」

「思い付きにすぎないのだが」

「単なる連想では」

「可能性のひとつとして」

などと記載するか、

どちらかをすれば済むものを、

「実はこうだったんです!」「こうである」「こうだったんですね」

と言われてしまえば、それを飲み込むしかないのです。

「こうらしい」「これが定説」

も、バイアスをかける可能性のある表現です。




たとえば、もうさっそく起きてしまったことですが、

大ピラミッドの女王の間から伸びているシャフトに、

ジュディという名のロボットが送り込まれ、

石の板の向こうで赤い文字のような記号が発見されたことについて、

「解読された!」

という報道がなされています。

http://news.discovery.com/history/pyramid-hieroglyph-markings-archaeologist-110607.html



多くの一般人は、当然、それを信じます。



この発見に興味を持った人の多くは、

それらの赤い記号を

「ヒエラティック」(ヒエログリフを略したもの。主に書記などの官僚が用いた)

であり、

そのヒエラテティックは「数字」であり、

「121」を表すのだ、

と思い込んでいます。

それはすでに確定されたものだと。



私は、ヒエラティックではなく、

単純化されたヒエログリフである可能性は捨てきれないと思います。

一方で文字の読めない作業員たちのために単純な記号を使ったとしながら、

一方ではエリートの使用するヒエラティックだという。

重量軽減の間の赤い「クフ」を示すヒエログリフを知っていながら、

こっちはヒエログリフではないと捉える。

素朴にわかりません。

どうしてそうなるのかが。

そうだったとしたら、

「どうして断定できるのか教えて欲しい」

と思います。

他の可能性を排除できる理由が知りたいのです。




私は素人ですが、まったくこじつける気持ちはありません。

素直にヒエログリフとしか見えないのです。



見つかった記号は、まとまって121という数字を表すには、

どうにも散らばりすぎています。

さらに、目を凝らしても、そのように見えないのです。

並び方もおかしい。

なんで121なんていう半端な数字なのかも説明が浅いと思います。

その説明は、いかにも素人と変わりない思い付きにすぎません。




専門家にしかわからない達筆で書かれているのでしょうか。

一般の人はそう受け取りますね、きっと。



今回、福島の原発事故にからんで、

多くの専門家の意見を私たちは聞きました。

原発に関しては、素人も大いに議論に加わっています。

専門家が、素人でもしないようなミスをしていたりするのも知りました。




私も、とある分野では、専門を持っています。

もちろん、一般人の発想をに耳を傾けないなどとということはありません。

相手の知識や経験が少ないのは当然ですから。

私も彼らの専門分野では拙い知識しか持ち合わせていないでしょう。

相手が素人で一般人でも、時に鋭い発想に出会うことがあります。



専門家に求めたいことは、

専門家自身が

専門家バイアスを与える影響について気をつけることです。

そして、解釈に関しては、

自分たちのほうが上だと思いすぎないことだと思います。

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